撮影者:小川光昭
撮影日:1996年4月26日
撮影場所:高暮 指谷山
解説:
ブナ シロブナ ホンブナ ソバグリ ソバグルミ ソバ ソバノキ コハブナ Fagus crenata Blume F.Sieboldee Endl.,F.silvatica L.var.Sieboldii Maxim.,F.sylvatica var.asiatica DC.,F.undulata Buerger(英)Siebold's Beech
温帯山地の肥沃な土壌にしばしば群生する落葉高木。幹は分枝するが高さ30m、胸高直径1.7mに達する。樹皮は灰白色、暗灰色、なめらかで割れ目がなく、しばしば地衣がついて斑紋となる。若枝は黄褐色の軟毛があるがまもなく落ち、長い皮目が多く、暗紫色。冬芽は長楕円形、鋭頭、鱗片は2列互生。葉は互生、有柄。葉身は卵形または菱状卵形、長さ4-9mm、鋭頭、基部は広いくさび形、ふちは波状鈍歯縁、側脈は7-11対、両面はじめ長軟毛あるが、後葉脈以外はほとんど無毛、洋紙質。葉柄は長さ5-10mm。托葉は倒披針形、長さ15mm内外、褐膜質、有毛。花期は5月。雌雄同株。雄花序は新枝の下部に数個つき、頭状、柄は細く、長さ1-3mm、長軟毛を密生し、苞は線形。雄花は6-15、花柄は1-2mm。花被は鐘形、長さ4-5mm、長軟毛を密生し、先は6裂、ふちは紫褐色。雄ずいは12,花糸は6mm、無毛。雌花序は新枝の上部につき、上向きし、柄は太く長さ5mm内外、長軟毛を密生する。頭状花序は線状長楕円形の苞でかこまれている。苞は7-9mm、褐膜質。総苞は径1cm、4裂し、各裂片の背部に多数の線形の総苞片がある。総苞は中に2花があり、長さ8mm。子房は3稜のある卵形、子房の上に線形、長さ1mmの花被片が6ある。花柱は3,下部合生し、上部は離生、線形でそりかえる。堅果はその年の秋に熟し、総苞は幅2cm、長さ2cm内外、4部からなり、各部は楕円形、背部に赤褐色の短毛を密布し、線形の長さ4-6mm、赤褐色の総苞片が多数ある。柄は丈夫で長さ1-1.5mm内外。堅果は赤褐色、3稜卵形、長さ1.5cm内外。発芽のとき、子葉は種子の外にでて、腎形で無柄、長さ13-15mm、幅18-20mm。〔分布〕温帯:北海道(黒松内・長万部以南)・本州・四国・九州。京都の付近では海抜600-700m以上にあるが、乱伐と植林の結果、少ない。北方ほど海抜の低いところから生える。また南方ほど高いところから生える。陰樹であって肥沃な土壌によく生え、温帯の極相ではブナの純林が見られる。乱伐されないところではその材の蓄積量は大きい。北海道南部・秋田・山形・岩手・福島・群馬・岐阜・長野の諸県が主産地である。要するに人間が手を入れなければ温帯にはブナが優占するところが多くなる。ブナは蛇紋岩地域にはよく育成しない。
ブナの遺体は日本の洪積世から葉、総苞、果実が散点的に報告されている。F.microcarpa Mikiもブナであろう。アメリカブナF.grandifolia Ehrh.(F.ferruginea Aiton)も日本の鮮新世に散点的に報告されている。葉に小さい鋸歯がある。果柄はブナより長く、2-2.5cm。総苞は花時径7-10mm、雌花は2、柱頭だけが外にでる。ブナよりイヌブナに近い。
ブナの材は日本の広葉樹の中では最も蓄積が多い。器具、家具、合板、土木、機械、船舶、車両、パルプなどに用いられる。曲木、ベニヤチェスト、防腐剤注入枕木などに特色がある。古代は椀などの漆器の木地に多く用いられた。果実は獣類の食料として重要である。
ブナの語源は未定。ソバは堅果に稜角(そば)があるのでいう。木偏に無(JISコードに無い)や椈は日本の俗字。
原色日本植物図鑑・木本編?
昭和54年10月1日 初版発行
平成9年7月1日 改訂17刷発行
著者 北村四郎
村田 源
作画 渡辺 修・宮本 孝
発行者 今井 悠紀
原色製版 株式会社日光プロセス
原色印刷 セブン印刷株式会社
本文印刷 凸版印刷株式会社
製 本 平田製本株式会社
株式会社 保育社
より引用